~ヨーガ療法と西洋医学の「健康観」の違い~
「健康」とはどのような状態をいうのでしょうか。
世界保健機構(WHO)では、その概念を以下のように定義しています。
「健康とは、単に病気や虚弱ではないことだけでなく①身体的②精神的③宗教的④社会的にも、完全に健やかな状態であること」
(Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. 1999年)
②の「精神的」というのは、いわゆるうつ病や精神疾患のみではなく、
各感覚・知覚器官を通して働く「心の状態」を意味します。妬みや嫉妬、欲望などに
支配された心の状態は「健康」とは言えないということです。
③の「宗教的」という言葉は、言語の“spiritual”を日本語で説明するために
便宜的に使用されたそうです。
意味としては、「『自分がいかにして、何故に今、ここに存在しているのか』
という自己の出自に対して、しっかりとした自己認識を得ていること」だとされています。
④の「社会的」というのは、「人間は社会的な生き物であり、自分を取り巻く社会と
どのような関係性を持っているか」ということを意味します。
引きこもりなど、社会との関係が断絶された状態も「健康」とは言えません。
従来の西洋医学では
肉体とその機能に焦点を当てて、病気の症状を抑える治療を行ってきました。
つまり、西洋医学では、健康とは「肉体中に病気がない状態」のことを指し、
WHOの健康の概念でいえば、
①「肉体に病気があるかないか」に主眼を置いていたとされています。
しかしヨーガでは
①の肉体だけでなく②精神的にも③宗教的にも④社会的にも健やかでなければ健康とは言えません。
ホーリスティック(全体的)に捉(とら)えているのです。
確かに実際私たち人間は、骨や筋肉や臓器だけで成り立っているわけではありません。
喜怒哀楽という言葉があるように、私たちは喜び、怒り、悲しみ、楽しみなど他にもさまざまな感情ととともに生きているわけです。
毎日の生活を生き生きと生きていくためにはこれら全てにおいて健やかに満たされてこそなのです。
ヨーガ療法とは、「真の健康」になるための「おくすり」である、
と言っても過言ではないかもしれません。